万年筆の基礎知識
万年筆のペン先のサイズについて
海外の万年筆のペン先の太さは、一般的な国産の同表示のものより、やや太い場合もあります。また、手作りの部分も多く、生産国の基準によっても異なります。筆圧の関係もあり、厳密に同一ということはありません。ペン先の太さは主にEF(XF)・F・M・Bが一般的です。
EFまたはXF | EXTRA FINE(エクストラファイン) | 極細字 |
---|---|---|
F | FINE(ファイン) | 細字 |
M | MEDIUM(ミディアム) | 中字 |
BまたはBL | BROAD(ブロード)、LARGE(ラージ) | 太字 |
BBまたはXL | BROAD BROAD(ブロードブロード) EXTRA LARGE(エクストララージ) | 極太字 |
筆跡を楽しむカリグラフィ用のペン先など、メーカーによって特殊な呼び方がされているものもあります。
MI | MEDIUM ITARIC(ミディアムイタリック) | イタリック用 |
---|---|---|
OM | OBLIQUE MEDIUM(オブリークミディアム) | 傾斜中字 |
OB | OBLIQUE BROAD(オブリークブロード) | 傾斜太字 |
ST | STUB(スタッブ) | スタッフ |
ペン先の素材について
万年筆のペン先の殆どは、金もしくは、それに類する物でコーティングされています。これは、インクに含まれる硫酸、塩酸などによる腐食を防ぐため、腐食に強い素材を使っています。また、イリドスミンなどのペンポイント素材との密着性が高く、耐摩耗性を維持したまま溶着できる特徴を持っています。一般的に金の割合が多い方が柔らかくなりますが、柔らかさはペン先の形状や厚みによる影響の方が大きく、14金の方が18金より柔らかく感じることもございます。
ペン先の硬さについて
ペン先の硬さは、ペン先の湾曲と厚みとによってほぼ決まります。ペン先の金属の厚みが厚いほど筆記時の感触は硬くなります。横方向へはアーチ型に湾曲して加工されており、これが深いほど弾力は硬く、浅いほど柔らかく感じます。また、ペン先が長いほどペン先が湾曲の影響を受けにくくなり、柔らかくなります。
ペン先にはあなたの個性が表れます
ペ万年筆を使い続けるとペンポイントが少しずつ削れます。右利きの方は、ペン先を後から見た場合、通常ペン先の右部分が、左利きの方の場合は、左部分が多く削れます。このような「書き癖」がついてはじめて万年筆は書きやすくなります。少し書き心地が悪い、ちょっと引っ掛かるなと思われても、使い続けて行くうちに、だいたい3~4カ月ほどで、あなたにとって書きやすいペン先に仕上がっていきます。字を書くのではなく ただ線を引くだけでも問題ありません。また、近くにペン先の調整をしてくれるお店などがございましたらそこに頼むのもよろしいかと思います。
万年筆の各部名称
インク充填方式について
インクの吸入方式は「吸入式」、「カートリッジインク式」「コンバーター式(両用式)」の3つに分類されます。
■吸入式
ボトルインクより直接インクを吸い上げペン内部にインクを貯め使用します。万年筆が誕生した初期より使用されている方法で、お手入れなどに若干手間はかかりますが、万年筆の醍醐味を味わうことができます。
■カートリッジ式
インクがビニールパックに入っており、万年筆の内部に差し込む形で使用します。使用が簡単で、携帯に向いていると言えます。
■コンバーター式(両用式)
「コンバーター」は取りはずし可能なインク吸入機で装着し、吸入式のように直接ペン先をボトルインクにつけインクを吸い上げることができます。また、近年の主流の方式で、カートリッジ/コンバーター両用式となっておりコンバーターの代わりに、カートリッジインクも装着しご使用いただけます。
吸入方式とインク・コンバーターの対応一覧
ボトルインク | カートリッジインク | コンバーター | |
吸入式 | 〇 | × | × |
カートリッジインク式 | × | 〇 | × |
コンバーター式(両用式) | 〇 | 〇 | 〇 |
万年筆のインクの補充方法
ご用意いただくもの: 柔らかい布またはティッシュペーパー
- 1.ノブを回しピストンを下げる
- 尻軸の吸入ノブを止まるまで左へ回して下さい。(ピストンが下に下がります。)※無理に逆向きに回すと故障の原因となります。必ず各商品の仕様をお確かめください。
- 2.ペン先全体をインクに浸す
- ペン先が完全に隠れるようにインクの中に浸けてください。※ペン先とインク瓶が当たらないようにご注意ください。
- 3.インクをゆっくり吸い上げる
- 吸入ノブをゆっくり右に回してインクを吸い上げます。1度でインクが吸入されない場合は、インクに浸したままノブを2~3回上下させてください。
- 4.インクを2,3滴ビンに戻す
- インクをいっぱいまで吸い上げたら、吸入ノブを左に少し回してインクを2,3滴だけビンに戻します。
- 5.インクのタブ付きを取る
- ペン先を上に向けて、吸入ノブを右に回してください。(ペン先に残ったインクが軸内に戻ります。)
- 6.インクを拭きとる
- 首軸についたインクをティッシュや柔らかい布などで拭きとってください。
吸入式の場合
- 1.コンバーターを装着する
- ペン軸より、首軸付きペン先を取り外し、コンバーターをしっかりと装着してください。装着後、コンバーターの吸入ノブを左へ止まるまで回して下さい。(ピストンが下に下がります。)
- 2.ペン先全体をインクに浸す
- ペン先が完全に隠れるようにインクの中に浸けてください。※ペン先とインク瓶が当たらないようにご注意ください。
- 3.インクをゆっくり吸い上げる
- 吸入ノブをゆっくり右に回してインクを吸い上げます。1度でインクが吸入されない場合は、インクに浸したままノブを2~3回上下させてください。
- 4.インクを2,3滴ビンに戻す
- インクをいっぱいまで吸い上げたら、吸入ノブを左に少し回してインクを2,3滴だけビンに戻します。
- 5.インクのタブ付きを取る
- ペン先を上に向けて、吸入ノブを右に回してください。(ペン先に残ったインクが軸内に戻ります。)
- 6.インクを拭きとる
- 首軸についたインクをティッシュや柔らかい布などで拭きとってください。
コンバーター式の場合
- 1.首軸を取り外す
- 尻軸の吸入ノブを止まるまで左へ回して下さい。(ピストンが下に下がります。)※無理に逆向きに回すと故障の原因となります。必ず各商品の仕様をお確かめください。
- 2.カートリッジをペンに挿し込む
- ペン先が完全に隠れるようにインクの中に浸けてください。※ペン先とインク瓶が当たらないようにご注意ください。
- インクがペン先になかなか到達せず、スムーズに書き出すことが出来ない場合は、ペン先を軟らかい布などでくるんで、軽く振るか、カートリッジの中央部を軽く押すなどしてインクをペン先になじませてください。
カートリッジインク式の場合
万年筆のお手入れ方法
しばらく万年筆を使わないときや、インクの色を入れ替えるときは、一度綺麗に掃除してください。より快適に万年筆をご使用いただくために、3ヶ月に一度は、掃除することをお勧めいたします。
ご用意いただくもの: 水またはぬるま湯を入れたコップ・柔らかい布またはティッシュペーパー
※万年筆の掃除には熱湯、薬品、洗剤、は使用しないでください。
- 1.インクを抜く
- インクが残っている場合は、吸入ノブを左に回してタンク内のインクをすべて抜いて、空にしてください。古いインクはインク瓶に戻さず廃棄してください。
- 2.水の出し入れを繰り返す
- ペン先全体を水の中に入れて、吸入ノブを左右に回して水の出し入れを繰り返し行ってください。何度か容器内の水を交換し、インクの色が出なくなるまで行ってください。
- 3.十分に乾かす
- 最後に、流水などで軽くすすいだあと、ティッシュペーパーまたは柔らかい布で水分を拭きとってください。
吸入式の場合
- 1.水に浸ける
- コンバーターを抜いて、ペン先とペン先の付いた部分(大先)を水で軽くすすいでいただき、そのまま水の入ったコップの中に一晩ほど浸けおきします。(注1)
- 注1:汚れがひどい場合は、コップの水を交換して下さい。汚れた水のまま、放置されますとサビや金属のくもり等の原因になります。
- 2.水の出し入れを繰り返す
- ペン先全体を水の中に入れて、吸入ノブを左右に回して水の出し入れを繰り返し行ってください。何度か容器内の水を交換し、インクの色が出なくなるまで行ってください。
- 3.十分に乾かす
- 最後に、流水などで軽くすすいだあと、ティッシュペーパーまたは柔らかい布で水分を拭きとってください。
コンバーター式の場合
- 1.カートリッジインクを外す
- カートリッジインクを首軸付きペン先から取り外してください。
- 2.水に浸ける
- コンバーターを抜いて、ペン先とペン先の付いた部分(大先)を水で軽くすすいでいただき、そのまま水の入ったコップの中に一晩ほど浸けおきします。
- 3.十分に乾かす
- 最後に、流水などで軽くすすいだあと、ティッシュペーパーまたは柔らかい布で水分を拭きとってください。(注1)
- 注1:汚れがひどい場合は、コップの水を交換して下さい。汚れた水のまま、放置されますとサビや金属のくもり等の原因になります。
カートリッジインク式の場合